2005-06-25から1日間の記事一覧

花しだれなだれ注意の予報かな

花に語る雀思わず花を喰ひ

花送りひそかに蕊の盛りかな

わか猫の胴長く寝て恋終わる

主婦のふりしてぬかどこにきゅうりもむ

腰を病み木蓮のこえを聞くばかり

腰痛と土となつかし犬ふぐり

目薬の冷たき夜や春おぼろ

ゆるゆると床より出づるホワイトデー

木蓮の白い鼓動を聞きました

百連や鳩胸ふくるるやうに咲き

百連や北を向くならゆるり咲け

目覚めたる土くろきかなもぐら出づ

老境に入るや春風めにしむる

春の陽のどっと差し入る雨後の窓

ストーブを背に念入りに爪を切る

故郷(ふるさと)に入学祝いの童話購ふ

バレンタイン六十路の夫にチョコ二つ 本当は三個

自堕落は母ゆずりかや春の風

卒業しリクルート誌の反古となる

忙しさのふと立ち止まる春の雨

あれだけのものを言いたや冬雀

寒月の銀ふんだんに畦の道

さまざまの鬼を抱いて春立ちぬ

ベゴニヤに座をゆづりたり冬日向 河二月号