8902
目覚めたる土くろきかなもぐら出づ
老境に入るや春風めにしむる
春の陽のどっと差し入る雨後の窓
ストーブを背に念入りに爪を切る
故郷(ふるさと)に入学祝いの童話購ふ
バレンタイン六十路の夫にチョコ二つ 本当は三個
自堕落は母ゆずりかや春の風
卒業しリクルート誌の反古となる
忙しさのふと立ち止まる春の雨
あれだけのものを言いたや冬雀
寒月の銀ふんだんに畦の道
さまざまの鬼を抱いて春立ちぬ
ベゴニヤに座をゆづりたり冬日向 河二月号
目覚めたる土くろきかなもぐら出づ
老境に入るや春風めにしむる
春の陽のどっと差し入る雨後の窓
ストーブを背に念入りに爪を切る
故郷(ふるさと)に入学祝いの童話購ふ
バレンタイン六十路の夫にチョコ二つ 本当は三個
自堕落は母ゆずりかや春の風
卒業しリクルート誌の反古となる
忙しさのふと立ち止まる春の雨
あれだけのものを言いたや冬雀
寒月の銀ふんだんに畦の道
さまざまの鬼を抱いて春立ちぬ
ベゴニヤに座をゆづりたり冬日向 河二月号