2005-07-11から1日間の記事一覧

意外なる音たてるなりファンヒーター

土手鍋の味噌くずれゆくふたりきり

鍋囲みひねりつつ抜くコルク栓

赤道の彼方緑の聖誕祭

老杉や触手のように実のゆるる

袖引くは赤き実のある野の茨

落葉掃く恩師の胸に俳句帳

落葉掃く背なかくしゃくと亡父(ちち)の友

廃屋の屋根重きかな杉実る

金色になりたき杉の実の重き

亡父の家細き畦道雪おこし

ふるさとを訪ねんる日の柿日和

いちぢくは非売品なり露天商

父祖の地に夢追い人と鍋囲む

ちちろ虫間のあるこゑの幽きや

老杉や触手のように実の揺るる

畦道の亡父(ちち)の足跡草紅葉

亡父(ちち)の友なほ矍鑠(かくしゃく)として冬鏡

白菊を隣の墓にも供へたり

老杉の枝々に実の重くあり

円き月オリオンの肩狭めたり

蒼き夜またひとつ落つ枯れた音

枯枝の影くっきりと月天心

月影の小枝にもみじ残りをり

一台の車の通る月天心

月天心終電の音遠くなり

いちまいの枯れた音きくひとりの夜

四ついつつ風なき夜に枯葉落つ

秩父連山白き秀峰かつぎをり

大湯温泉桜紅葉の嚇きかな