2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧
病巣を絶つ日近づく芽吹きかな
同病の語らい続き桜満つ
無人駅青くて光る風抜ける 六月九日三日月駅十四時四十一分発
梅雨はまだ全山あらわに富士の山
はしり梅雨富士は薄絹かずきをり
単線の軋みに光る風をのせ
いぼ川に光り散らして花菖蒲
イヤリング輝く主婦の忘年会
茶の花や含み笑いのデスマスク
隣家より紅葉の明りをもらひけり
蟷螂の翠のままに枯れにけり
自転車の登りきったり花八つ手
沼畔のいてふの落葉は生かわき
落葉の音無人のボート動き出す
冬のもずアルツハイマーなど知らず 河二月号
生き死にの思案や秋の毛虫落つ
秋の朝黒子消えたる誕生日
猪肉に酔はされたりと故郷(くに)の声
三階に棟上がりけり新酒汲む
ちちろ虫始発電車に驚かず
つげ櫛の髪つまみとる秋灯火
十年日記の頁の軽き十三夜
亡父亡母(ちちはは)の軽きを背負ひ赤とんぼ
亡父(ちち)の痣手の甲にのせ大根蒔く
満月の鬼逆立つ外国に
外国(くに)よりは便り久しき赤とんぼ
満月の鼓動大樹に届きけり
雨傘の赤い花柄敬老日
声立て秋の蛙や腹ふくる 河十二月号
父と子の異な癖もあり秋茜