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風止る鳥に咬まれし蝉啼かず

蝉つぶて全てが敵に見えし時

夕立前空洞の歌とほくなる

茶の子届く叔父叔母老ふる広島忌 河十月号

ダンス教室あづま男のアロハかな

くちなはや肩身の狭く住まいをり 河十月号

汗の指はずす時計の針進む

夏銀河赤道超ゆる娘の国へ

白馬岳ことにうれしい斑雪

どの谷も雪細りゆく夏白馬

吊橋をゆらす川風斑雪

濃緑も淡きも繁る夏の山

河童橋揺れ揺れ仰ぐ夏の山

四半分ラップの水瓜届きけり

闇濃くばゆかしく揺れる大待宵

きのふは一つけふは二つの月見草