2005-06-29から1日間の記事一覧

宵越しの古酒を片づけ朝茶のむ

さらさらのダイエットメニューのとろろかな

重き病置きて睦める神無月

風は秋父の縁の訃報受く

病名を知らず退院神無月

東方に笑ひて喰ふべ青みかん

秋冷えや園児むづかり傘とゆく

湧きいづるごと木犀の咲きはじむ

停年の夫球場に捨て団扇 十月十二日西武球場にて

シューベルト聴いて剥ぎとる栗の皮

栗飯よ退院祝いの睦碗

神無月退院祝いの弦合奏

退院す義兄の酸素に秋の風

秋遊びおしきせを脱ぎ少年となる

先生の肩書はずし秋に翔ぶ

雲遊ぶ台風一過の空深し

大風のあとようやくに秋来たる 二十二号去る

秋の宿ひとつの椅子は空きにけり ホームステイの子、去る

足元に咲くコスモスや音のなし

虫捕りし白い網の子顔くずる

そこの処唱へ損ねし法師蝉

風やめばさぎ草ゆらりと立ち直り

風やめば蝉のこえは法師なり

この年は蝉がいないと白い網

クーラーを止め羊を数へたり

追風の押すひめみこし汗の髪

田水沸く料理全集めくるのみ

西国のひと桜桃を喰い初むる

あの年でさくらんぼ喰むはじめてと 姉にお中元

水瓜切る父の刃先の今遠し