2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

虫捕りし白い網の子顔くずる

そこの処唱へ損ねし法師蝉

風やめばさぎ草ゆらりと立ち直り

風やめば蝉のこえは法師なり

この年は蝉がいないと白い網

クーラーを止め羊を数へたり

追風の押すひめみこし汗の髪

田水沸く料理全集めくるのみ

西国のひと桜桃を喰い初むる

あの年でさくらんぼ喰むはじめてと 姉にお中元

水瓜切る父の刃先の今遠し

きずもののさくらんぼまだ甘かりし

夏まつり追い風にのるひめみこし 選挙の日の夏まつり

盆すぎのクラス会へと返信を切る

足投げて猫の寝ている大暑かな

畑に咲くあかのまんまの枝かれをり

不死鳥の眠りし夜の花ざくろ

灰皿の山につゆ空くらきかな

青梅の針さす夜のひとりかな

つゆ晴れ間黒子の振るごと蝶の舞ふ

煮え切らぬ一日を過ぐ梅雨じめり

紅を吐き孔雀サボテン立ち眩む

ふた心ありサボテンの夜に咲く

まないたに走るしゃくとりキャベツ色

一本をとり素麺のゆでかげん

シナモンをトーストに振り五月尽

夏はじめ足裏ぬくき竹を踏む

まなうらに広目天立つはしりづゆ

あじさいのかたくな緑蕾出ず

半袖にスカーフをまき日の沈む