2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

雨降る降る降る雨を呑み海芋咲く

嚇き芽の開けばみどり広がりぬ

芽銀杏の雨降りて後ものを言ふ

花しだれなだれ注意の予報かな

花に語る雀思わず花を喰ひ

花送りひそかに蕊の盛りかな

わか猫の胴長く寝て恋終わる

主婦のふりしてぬかどこにきゅうりもむ

腰を病み木蓮のこえを聞くばかり

腰痛と土となつかし犬ふぐり

目薬の冷たき夜や春おぼろ

ゆるゆると床より出づるホワイトデー

木蓮の白い鼓動を聞きました

百連や鳩胸ふくるるやうに咲き

百連や北を向くならゆるり咲け

目覚めたる土くろきかなもぐら出づ

老境に入るや春風めにしむる

春の陽のどっと差し入る雨後の窓

ストーブを背に念入りに爪を切る

故郷(ふるさと)に入学祝いの童話購ふ

バレンタイン六十路の夫にチョコ二つ 本当は三個

自堕落は母ゆずりかや春の風

卒業しリクルート誌の反古となる

忙しさのふと立ち止まる春の雨

あれだけのものを言いたや冬雀

寒月の銀ふんだんに畦の道

さまざまの鬼を抱いて春立ちぬ

ベゴニヤに座をゆづりたり冬日向 河二月号

枯菊の崩るる音の香りけり

投函し遠回りする冬野道 河三月号