大館駅ハチ公に北風の吹く

最上川紅葉集めて淀みをり

深きかな紅葉浮かべる湖の色

冬日没る杉の精気や日本海

焼藁の黒き点々庄内平野

奥羽本線五色の山に突進す 花輪線大平山

日本海もみぢゆっくり流れゆく 花輪線米代川

蔦もみじ杉のはきたる袴かな 花輪線車中より

オリオンの降りて来る来る山の湖 夜７時十和田湖に着く

象潟に青首大根育ちをり サイクリング

鳥海山より時雨おりて来る 九十九島の中にて

尾花照る土手を急ぎのフォークラリー

四温の日鬼はね出るポットの絵

十月の旅に薄皮饅頭購ふ

トンネルを出てすすき野の目に眩し

髪切ればシャンプーの泡余りけり

もくせいの香りを入れて黒地縫う

霧走る山の特急下るらし

長き夜や国の訛で受話器置く

足くずしきりたんぽの湯気吹きにけり

秋の陽にメタセコイヤのよみかへり

逆光に紫鈍きちから芝

水蓮の紅白残し秋の池

祭り果つ桶にふどしのからみおり

鳴き止めよ蝉採りっ子に見つかるぞ

遠花火外国の娘の三十路かな

赤とんぼ猫の額の庭に飛ぶ

若者の喰い気快なる大暑かな

腹立てば色の出し得ぬ藤袴

腹立ちを鎮めし色や葛の花