2005-07-12から1日間の記事一覧

転生を祈り蛞蝓潰しけり 河七月号

軍手脱ぎ釘抜く女春の風

高階に起重機の乗り霞たる

超高階登りつめれば霞退く

おおき花三分の揺れや春の宵

帰国の娘お揃ひで購ふ春帽子

藤村のふと出て春雨冷たし

にごり酒かかえて春の旅は果つ

春の旅終りに購ひしにごり酒

春の夜に指先で読む句碑の文字

春帽子まづ脱いで置く自由席

発車まで二輌電車に春淀む

発車まで春陽ためおく別所線

信濃線浅間遠くに霞みけり

崖多き信濃本線水ぬるむ

遠浅間残雪ゼブラの肌となる

北軽井沢ホームの土は黒きかな

春風や降客の地図裏返り

古雛手持無沙汰の官女あり

何もないと言はれて来しが雪のある

雪解水たれても温し露天風呂

あさり汁眼の療えし夫退院す

おぼろ月絹のしじまの手術かな

雪解けや木々の根元に土の息

湯けむりはやよひの山を湿らせる

雪解けに山の賑わひ始まりぬ 三月七日宝川温泉

捨て缶の電車の床に春唄ふ

畑焼きの煙こどもらを追っ払ひ

みの虫の堅きまもりや鳥餌にならず

じゃんけんぽん負けてもやっぱり春立ちぬ