2005-07-16から1日間の記事一覧

コロッケの 待ちて冷めたり十三夜

ちちろ虫息子(こ)を待つコロッケ冷めにけり

子の為に食い残すなよ女蟷螂

殺伐にあらず蟷螂雄を喰む

オリオンに届かぬ風の又三郎

短調となる虫の声月下弦

焼き芋のマニキュアの手にこぼれけり

マニキュアの指で焼き芋掴みをり

焼き芋をおおらかに喰む八等身

幾夜(ひび)も風止まりをり無月かな

ちよがみと蝉の取り引き成立す

かなかなとちよがみ二まいと取引す

二学期に手つなぎ園児スキップす

来る日々を想ふ幸せ秋ぞ来る

容赦なく羽打ちたる秋懲雨(あきこさめ)

盆の月音の気配もなかりけり

赤き星離れてゐたり盆の月

黒猫の跳び出して来る盆の月

わが影を遊んでゐたり盆の月

盆の日創造主を確かむる

影ふみ鬼わが影を踏む月夜かな

台風一過影ふみ出来る月夜なり

忘れしが夢の気になる台風来

もてあます餌にくもの囲破れけり

高階の窓々の灯や広島忌

霧雨や大梓のきつつき忍び声

菩提寺に参りし時は秋の雨

秋雨に濡れても一度御入口

幼な顔残す従兄弟よビール継ぐ

鮎はねる旅にてむかふ誕生日