2005-07-15から1日間の記事一覧

白樺のくろき瘤より霧生まるる

きつつきに声かけられて霧深し

髪にすぐ手をやる女霧の宿

啄木鳥やはたらきすぎの日本人

かっこうの笑ふてゐたりすずかりに

閑古鳥旅にしあれば耳さとし

霧ふすまのぞいてゐたる朴の花

いにしへの霧に開いて苔の花

にんにくを軒に吊して避暑の街

日時計盤十二支の消ゆ梅雨の雲

日時計に山の霧雨溜まりけり

ショウウィンドウ白き衣装の霧がくれ

舎利守りの石像の背に滝の音

梅雨の谷濃きうすきあり詩文字塔

白樺のくろき瘤より霧生まるる

大るりを聴くや樅の木息を止め

梅雨雲や半身の白し白樺

梅雨の宿文字盤重きパズルかな

キャッスルの棟梅雨空にゆれてゐし

夏霧をかかへし樅の闇深し

夏霧の風に紅葉のさめにけり

かまきりの脱皮し大地を睥睨す

振り返ることなき道になめくじら

さみだれや着崩れしたり露座仏

割箸の先より落つる虫追わず

歩く虫より歩かぬ花を贔屓

魂の一分潰され夜盗虫

虫つぶす夜な夜ななむあみだぶつかな

翔びそこねたる連れもあり子かまきり