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かまきりの脱皮し大地を睥睨す

振り返ることなき道になめくじら

さみだれや着崩れしたり露座仏

割箸の先より落つる虫追わず

歩く虫より歩かぬ花を贔屓

魂の一分潰され夜盗虫

虫つぶす夜な夜ななむあみだぶつかな

翔びそこねたる連れもあり子かまきり

あを葉かげ六等身の仁王立つ

かやつり草孫抱けばあいさつしたくなる

そのうちにいい顔になる額の花

赤い糸異国に手操る寶鐸草

えごの花諭しきれずに見送りぬ

若芽食ふあを虫の色若芽色

新芽食ふ小さき生きもの踏みつぶす