2005-07-23から1日間の記事一覧

生き死にの思案や秋の毛虫落つ

秋の朝黒子消えたる誕生日

猪肉に酔はされたりと故郷(くに)の声

三階に棟上がりけり新酒汲む

ちちろ虫始発電車に驚かず

つげ櫛の髪つまみとる秋灯火

十年日記の頁の軽き十三夜

亡父亡母(ちちはは)の軽きを背負ひ赤とんぼ

亡父(ちち)の痣手の甲にのせ大根蒔く

満月の鬼逆立つ外国に

外国(くに)よりは便り久しき赤とんぼ

満月の鼓動大樹に届きけり

雨傘の赤い花柄敬老日

声立て秋の蛙や腹ふくる 河十二月号

父と子の異な癖もあり秋茜

秋暑し短く切れしとかげの尾

秋気配一点に風土踏まず

洋画館出て地下街でさんま買ふ 河十二月号

長き夜の土不踏押し夫を待つ

夏やせは懸念に及ばぬ紫煙かな

頭上より主確かむる虫の声

土踏まず秋来る時季(とき)を確かめり

それぞれの呼吸して天地秋めけり

カシオペア肥ゆ秋風の吹きはじむ

立秋や存在感増すカシオペア

野分来る太く座しをりカシオペア