2005-01-01から1年間の記事一覧

秋暑し短く切れしとかげの尾

秋気配一点に風土踏まず

洋画館出て地下街でさんま買ふ 河十二月号

長き夜の土不踏押し夫を待つ

夏やせは懸念に及ばぬ紫煙かな

頭上より主確かむる虫の声

土踏まず秋来る時季(とき)を確かめり

それぞれの呼吸して天地秋めけり

カシオペア肥ゆ秋風の吹きはじむ

立秋や存在感増すカシオペア

野分来る太く座しをりカシオペア

白菊のセピアの写真が見てをりぬ

湯上がりの髪を結んで柿をむく

木犀の香りを入れて黒地縫ふ

金木犀六日たらずの盛りかな

犬糞に砂山盛りに萩の咲く

修め得ず逝きし幼な児赤まんま

野佛の鼻埋まってをり曼珠沙華

くじゃく草若き墓石に年令(とし)を問ふ

萩の花闌けたる愛の見えにけり

コスモスのしばらく咲くといふ気配

笑ひけり昨日怒れる葉鶏頭

自意識の過剰なりけり葉鶏頭

風止る鳥に咬まれし蝉啼かず

蝉つぶて全てが敵に見えし時

夕立前空洞の歌とほくなる

茶の子届く叔父叔母老ふる広島忌 河十月号

ダンス教室あづま男のアロハかな

くちなはや肩身の狭く住まいをり 河十月号

汗の指はずす時計の針進む