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芽いてふのいてふ型なる日暮れ刻 河六月号
雀来て桜ついばみ花は舞う 八日の雪の後満開に
華やぎし桜並木にはや若葉
花散るよ風薫るよとありがたき
水引草赤き光の存在感
気短かに桜二片舞い落ちぬ
歩道ぬれはんなり桜のアップリケ
山吹やみのが欲しいと涙雨
小すみれようららの空を仰ぎ見よ
姉の手も同じしみなりわらび取り 広島に行かねば
叱られて少女手に盛るつくしかな
あにいもとまずぐちの出るみどりの日
あを堅し成長期の過ぐいてふかな
天を聴く手屏風白き海芋かな
しばらくは落ちて色ある黒椿
芽いてふや退院祝ひののり届く
焼海苔の宅配便にさくら草
金の笛吹きたい山吹黙し咲く
古だんす鎮まり春の地震止む
ひとり部屋地震の余波と春の雨
意に反し花びら寄する春嵐
娘の留守に一日おくれのひな納め
白ばかり咲くわが庭に桜降る
白蓮のまだ踏まれゐず白きかな