9204

芽いてふのいてふ型なる日暮れ刻 河六月号

雀来て桜ついばみ花は舞う 八日の雪の後満開に

華やぎし桜並木にはや若葉

花散るよ風薫るよとありがたき

水引草赤き光の存在感

気短かに桜二片舞い落ちぬ

歩道ぬれはんなり桜のアップリケ

山吹やみのが欲しいと涙雨

小すみれようららの空を仰ぎ見よ

姉の手も同じしみなりわらび取り 広島に行かねば

叱られて少女手に盛るつくしかな

あにいもとまずぐちの出るみどりの日

あを堅し成長期の過ぐいてふかな

天を聴く手屏風白き海芋かな

しばらくは落ちて色ある黒椿

芽いてふや退院祝ひののり届く

焼海苔の宅配便にさくら草

金の笛吹きたい山吹黙し咲く

古だんす鎮まり春の地震止む

ひとり部屋地震の余波と春の雨

意に反し花びら寄する春嵐

娘の留守に一日おくれのひな納め

白ばかり咲くわが庭に桜降る

白蓮のまだ踏まれゐず白きかな