さくら

同病の語らい続き桜満つ

地に落ちて八重の桜は樹を仰ぐ

千本の枝軽くなり姥桜

着陸す桜の蕾まだ固し

古校舎桜にこびず夕日受く

空と森溶けて桜の散りにけり

五里渕の旅情はるかしだれ桜

宴を解き雨の古城は桜のみ

草笛としだれ桜を握りけり

機関車を足して峠の山桜

夜桜のはんにゃ心教聞こゆなり

口々にもうすぐですねと桜待つ

雀来て桜ついばみ花は舞う 八日の雪の後満開に

気短かに桜二片舞い落ちぬ

歩道ぬれはんなり桜のアップリケ

白ばかり咲くわが庭に桜降る

陽を仰ぐ桜は人を見ざりけり

うすずみをふくみ桜の散りにけり

くれなゑを溜めて桜の出番かな

うなだれし若い桜に雪重し