2005-07-05から1日間の記事一覧

山吹のひとへめでたき金の傘

春雷に帽子目深に球児去る

どの部屋も若葉じめりの暗(あお)さかな

紫煙満つ菜種しぐれやうば集う

いかづちを聴くが如くのやぶれ傘

北窓を開けて夜中に飯を盛る

海遠し厨蜊のしろきベロ

葉隠れの蕾のすずらん序列あり

イースターエッグスプーン差し込む穴を開け

記憶装置こぼれそうなり春うらら

長雨や白たんぽぽは眠り継ぐ

湯玉とる蕗のゆで汁うすみどり

信州に桑の苗植ゑ春を待つ

陽を仰ぐ桜は人を見ざりけり

芽柳や少女の胸のふくらみぬ

うすずみをふくみ桜の散りにけり

腹ふとき人もありけり花見浦

髭面も苺にたっぷりミルクかけ

くれなゑを溜めて桜の出番かな

唐突に鳴く初蛙風止みぬ

百連の盛り過ぎたる高笑ひ

そのあたり白木蓮の白夜かな

投票を終えぶらんこの背なを押す

残り雪娘在る国の形して

満ち潮のごと草萌ゆる雨の後

出がらしのぬるき茶置きて春眠す

忙殺の白き日記に春ぞ来る

信州に写真を送り水温む

逢い引きの日延べの電話春の雪

こめかみの寒き夜犬の遠吠えす