9003
信州に桑の苗植ゑ春を待つ
陽を仰ぐ桜は人を見ざりけり
芽柳や少女の胸のふくらみぬ
うすずみをふくみ桜の散りにけり
腹ふとき人もありけり花見浦
髭面も苺にたっぷりミルクかけ
くれなゑを溜めて桜の出番かな
唐突に鳴く初蛙風止みぬ
百連の盛り過ぎたる高笑ひ
そのあたり白木蓮の白夜かな
投票を終えぶらんこの背なを押す
残り雪娘在る国の形して
満ち潮のごと草萌ゆる雨の後
出がらしのぬるき茶置きて春眠す
忙殺の白き日記に春ぞ来る
信州に写真を送り水温む
逢い引きの日延べの電話春の雪